四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 確かに気温も戻ったし、体に纏わりつく温度からも春の暖かさを感じる。彼が嘘を吐いているとも到底思えない。

 ……それでも、突然風のように現れた彼に信頼なんて置けない。

「あなたは……何者、なの?」

 絞り出すように聞き、一歩彼から距離を取る。

 そんな私の言葉を聞いた彼は、華麗な手つきでサーベルを戻しゆるりと微笑んだ。

「――私は、統治者である主様とこの世界の守護者でございます。」

 ……それが分からないのですが。統治者も守護者も、世界の命運も何もかも。

 そもそも彼って日本語を話してるけど、日本人じゃない雰囲気が漂っている。

 真正面から見た彼の服装はやっぱり軍服みたいで、全体的に灰色寄りの黒を基調にした西洋を思わせる格好。ネクタイやワンポイント、外套の裏地は桜色で統一されて、軍服に合わせた帽子には彼の指輪と同じ豪勢なデザインのクラブが紋章として付いていた。

 顔つきもアイドルみたいにかっこよくて、一言で表すなら継承顔。キラキラな王子様って感じ。

 腰には目を引くデザインのサーベルが下がっているけど……外国人にも見えないし、かと言って日本人かって言われると違う気がする。