四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 ……だが、陽依に恋をしたのは俺だけじゃないらしい。

 目の前で嬉々として乗っているコーヒーカップを全力で回す夏生も、どうやら我が主様に心を奪われてしまったみたいだ。

 いや、まだ夏生だけなら良かった。問題なのは……おそらく秋も千冬も、陽依に気がある点だ。

 千冬は憶測の段階だからはっきりそうだとは言えないけど、秋は確信犯。

 陽依がお化け屋敷と聞いた瞬間に怯えていたのを秋も見逃さなかったようで、二人で先に行ってしまった。

 案の定出てきた陽依はどこか秋に対してよそよそしく避けていて、秋の加虐心が陽依に何かしたんだろうと簡単に予測がつく。

 それがすごく……俺は許せなかった。

 秋がそういう人だとは以前から知っていたし、今更驚く事でもないけれど……陽依を泣かせるような真似をしたのだったら、話は別。

 今日の遠出だって、本当は陽依と二人で出かけられると少し期待していた。

 だから陽依が『夏生たちも』と口にした時、自分でも驚くくらい苛立ってしまったのを覚えている。

 陽依が悪いと言いたいわけじゃない。陽依が皆とを望むなら俺は従うまでで、余計な事を吹き込むつもりもない。