四季の守護者たちはとびきりに溺愛したがり。

 しかも抱きしめられて至近距離にいるから、夏みたいな清涼感のある香りが……!

 と思っている事を悟られたくなくて、私は慌ててお礼を伝えた。

「な、夏生君助けてくれてありがとうっ! だ、だからちょっと、離してくれない、かな?」

「え〜? んな冷たい事言うなよ〜? せっかくだしもうちょっとこうしてーなー、俺は。」

 耳元で静かに囁かれ、ビクッと肩を揺らしてしまう。

 し、心臓がドキドキして死んじゃいそう……っ。

 家を出るまでは伊春君ばっかり警戒していたけど、夏生君も要注意だっ……。

「夏生、悪ふざけはほどほどにしてください。」

 不敵に微笑む夏生君からどうにか逃げようと身をよじっていたら、さっきとは違う一オクターブくらい低い伊春君の声が。

 そして今度は驚く暇も与えられず伊春君のほうに抱き寄せられたかと思うと、ボソッとこんな呟きが私の耳まで届いた。

「……夏生だとしても、陽依に気安く触らないでほしいな。」

 え……それって、どういう意味……?

 思いもよらなかった伊春君の呟きに、思わず疑問が口を突いて出そうになる。