伝えないと、と思った。
どこにも行かない。
遥風を置いて、急に消えたりなんかしない。
遥風の怖がってるようなことは、何も起こらないから、って。
けれど──
遥風は、冷たく見下ろしたまま、ゆっくりと目を細める。
「嫌だ」
次の瞬間。
再度、唇を重ねられた。
さっきまでとは違う、深くて長いキス。
それ以上私が発する言葉を聞くのが怖いみたいに、ちゅう、と深く口を塞がれて、息を継ぐ隙さえ与えてもらえない。
「……っ、ん……!!」
声の代わりに、鼻から苦しい息が漏れる。
離して欲しくて身体を捩るけれど、体重をかけられたらまたすぐに身動きが取れなくなって。
こっちを見てくれない。
聞いてもくれない。
でも、こんな遥風にさせたのは、私なんだ。
──全部全部、間違えちゃったんだ。
抵抗する身体から、力が抜ける。
苦しく霞む視界の中、押し付けられた手首の痛みに耐えながら──
私は、ただ彼の熱を受け入れることしかできなかった。
