ピリ、と。
胸の奥、柔らかい場所を鋭いものが抉る感覚。
……ああ。
やっぱり遥風は、私が思ってるよりずっとずっと多くのものを飲み込んでた。
私を苦しめないために。
私が望む『遥風』でい続けるために。
それなのに私は、何も言わずに耐えてくれてる遥風を前に、このまま上手くいくかも、なんて呑気に思い込んでた。
「でもさ──
それで、俺だけが大人しく待ってて、他の男に取られるなら」
ぐ、と肩口へ顔を埋められる。
「意味ねぇだろ」
くぐもって落とされたその言葉。
心臓を、ぐしゃりと握りつぶされたような気がした。
……ほんとに、
最悪なことした、かも。
遥風はやっぱり、最初からこんな守られ方、望んでなかったんだ。
翔の言ってること、全部合ってたんじゃん。
相手を守るためとか言って、ただ相手をぐちゃぐちゃに傷つけただけで──本当に、悪影響しかない。
何もかも甘かったんだ。
私なんかの考えひとつで物事がいい方向に進むなんて勘違いしてた時点で、浅はかだったんだ。
