拍子抜けすると同時に、ちょっとだけホッとする私。翔はゆっくりとスマホをポケットにしまうと、気まずそうにぽつりとこぼした。
「で、こんな遅くまで連れ回されたんだ」
「はい」
「……そっか」
そこで翔は逸らしていた視線をゆっくり戻し、そのままじっ、とこちらの顔を覗き込んできた。
「変なことされてない?」
「……」
街灯に透け、さら、と揺れる前髪。その隙間から、心配そうな色を浮かべてこちらを見つめてくる。
…………
……なんか。
この人、私のことこんな目で見るんだ。
やっぱり、最近の翔を相手にするとなんだか調子が狂う。
スーパーで出くわした時から、何かと気にかけてくるようになったのは一体どういう風の吹き回しなんだろう。
私、何か変えたっけ?それとも翔の中で何か心境の変化が?
胸の奥がくすぐったいような変な感覚になりながらも、私はとりあえず素直に質問に答えておく。
「……されてないです」
頬にキスはされたけど、言ったら面倒くさそうなので黙っておいた。
「本当に?」
「はい。リール撮影に付き合わされただけなので」
「……そ。ならいいけど」
翔の表情が、見てわかるくらいふっと和らいだ。
そんな彼の様子を見つめながら、私はまた、内心で首を傾げる。
──やっぱり、変。
