植え込みの陰に隠れているせいで、届くのは寮の窓から漏れる微かな光だけ。
時折、遠くの道路を通る車の音が聞こえるだけで、人の話し声も足音もほとんど聞こえてこない。
ざわ、と、風に煽られた葉が擦れ合う音。
それ以外はあまりにも静かで、自分の心臓がどくどく鳴っている音まで鮮明に聞こえてくるみたいだった。
「…………」
一体どうしてわざわざこんなところに。
そんなに他人に聞かれたくない話でもあるのかな……。
気まずすぎるシチュエーションに冷や汗をかきながら、じっと翔の背中を見つめていると。
彼は急に足を止め、くるりとこちらに向き直った。
不意を突かれ、ちょっと息が止まる。
けれど彼はそんな私の反応を気にした様子もなく、手に持っていたスマホへ視線を落とし、無言でいくつか操作して。
「これ」
すぐに私の眼前にスマホを突きつけてきた。
……なんだ?
その画面を、ちょっと目を細めて覗き込んだ私は、次の瞬間ぎょっと目を見開いた。
だって、そこに映し出されていたのは──
ほんの先ほどまで付き合わされていたジャックスとローガンとのリール動画だったから。
……うっ、そ。
もう上げたの?早すぎない?ちゃんと事務所から許可とか取ったんだろうか?
……まさか許可なしでその場のノリで公開しちゃったわけじゃないよね?
