私は慌てて目を逸らし、苦し紛れに話題を変える。
「その格好、なに」
「……あー、ごめん。会うと思ってなくてさ」
軽い調子で言った京は、ベッドに置かれていた黒いジップパーカーをひょいと掴むと、そのまま適当に羽織った。
けれど暑いのかジップは開けたまま、片側なんて肩からずり落ちかけていて、さっきよりさらに、なんというか、……。
とにかく、服はちゃんと着てくれ。
無意識にじとっとした視線を向けてしまうと、京はニコニコとゆるく微笑みながら首を傾げた。
「何?」
さら、と長めの前髪が揺れる。
「いや……」
私は何も言えなくなり、言葉を濁して視線を逸らした。
……顔が良いっていいな。つらつら言葉を並べなくても、表情だけで相手を黙らせられる。
ずるい、って思う。
結局何も続けられず黙り込んでしまった私を、京は数秒ほど、じっと見つめていたけれど。
やがて、堪えきれなくなったかのように息を漏らした。
「……ふ」
「なに」
くすくすと肩を揺らしながら、煙草を灰皿に押し付ける京。
それからもう一度こちらを見て、ちょっと揶揄うように薄く目を細めた。
「意識すんなって」
……バレている。
今まで私が内心で思っていたことを全て見透かされていたような気持ちになって、一気に顔に熱が集まった。
