さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「Stay out of it, Jax.(部外者は黙っててくれ)」  


低い声音。一瞬にして、空気が殺伐としたものに変わった。


……待って、これ、やばいんじゃ……?

悲惨な巻き込まれ事故寸前の空気を感じて、私は一人ソワソワし始めてしまう。

私を挟んだこの状況で殴り合いとか間違っても起こさないでよ……?


と、そんなこちらの限界寸前の心境を察したのか──

膝に頬杖をついたまま、ジャックスは目を細めて楽しそうにこちらを見つめてきた。


「Scared, Chitose?(怖いよな、千歳)」

「……Well,(えー、と)」


私がまともに答える前に、彼はグイと肩を抱いたまま距離を詰めてきて。


「Then forget him. Us outsiders should get outta here and have some fun somewhere else.(じゃあこいつは放っといて、部外者の俺たちはどっか行って楽しもうぜ)」


そのまま──

ちゅっ。

身構える暇も与えず、頬に音を立ててキスを落としてきた。


……

…………

……………は?


「What do you think you're doing?!!(な、何をしてるんですか?!?!)」


慌てて片頬を手で押さえ飛び退く。顔に熱が集まり、心臓はバックバックと高鳴っていた。

その必死すぎるリアクションがツボに入ったのか、手を叩いて大爆笑し始めるジャックス。

一方で隣のローガンはというと、私たちの距離感に苛立っているのか、死ぬほど怖い顔をしてこちらを睨みつけてきていた。


「Sorry, sorry. You just looked too tempting.(ごめんごめん。だって、あまりにもそそられる顔してたからさ)」

「……」

「And I’m not even joking. I really──(別に冗談で言ってるわけじゃないぜ。本当に俺は──)」