彼は続けた。
「But Sho broke that promise and went back to Japan. He chose Japan instead.(でも翔はその約束を破って日本に帰った。日本を選んでな)」
そこで初めて、口元に薄い笑みを浮かべたローガン。
その自嘲めいた表情と吐き捨てるような口調に、どれだけ彼が翔のことを信用していたのかが滲んでいるような気がして、少し息が詰まった。
「A Japanese artist making it big globally? That’s one hell of a detour.(日本出身のアーティストがグローバルで成功する? 遠回りにも程がある)」
「There it is. The racist shit again.(出たよ、レイシスト)」
すかさずジャックスが馬鹿にするように、軽く肩をすくめる。
「I’m being realistic.(現実的な話をしてるだけだ)」
「Sure.(はいはい)」
どうやら彼らの口ぶりを聞くに、こういった類のやり取りは一度や二度ではないらしい。
ジャックスはつまらない話でも聞くように片手をひらひらと振ると、気怠げな声音で続けた。
「For what it’s worth, I think Sho made the right call.(でも俺は、翔の選択は正しかったと思うけどな)」
それを聞いたローガンの目が僅かに細くなったが、それを気にする様子もなく、ジャックスは皮肉っぽく笑う。
「You could make all the money in the world and still not beat someone like that. Your plan was insane from the start.(どれだけ金を積んだって勝てる相手じゃない。お前の計画は最初から無謀すぎたんだよ)」
「……」
「Maybe you should do what Sho did. Chase something that’s actually yours for once.(そろそろ翔みたいに、自分自身の現実的な夢を追った方がいいんじゃないか)」
さっきまで親しい友達みたいに軽口を叩き合っていた二人の間に、見えない一線が引かれた気がした。
ローガンはしばらく何も言わず、眉間に皺を寄せたまま黙り込んでいたけれど──
やがて、苛立ちを誤魔化すように細い息を吐く。
