さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



その会話に、私は何やら不穏な空気を感じ取ってしまった。


……翔に執着してるわけじゃない?

じゃあ、一体。


「What are you obsessed with?(何に執着してるんですか?)」


思わずそんな問いが口をついて出た。


言ってしまってから、あ、聞いてよかったのかな、と思ったけれど。


ローガンは、その琥珀色の瞳をちら、とこちらに向けて──

そのまま何も言わずに、再び夕暮れの水面に視線を落とした。


「……Revenge. There’s someone I want to get back at.(復讐だ。やり返したい相手がいる)」


夕焼けに染まる人工ビーチ。

穏やかに揺れる水面。

遠くで聞こえる人々の笑い声、微かな音楽。

そんな平和そのものみたいな光景には、どう考えても似つかわしくない単語が落ちた。


──復讐?


「Uh……what?(え、っと……?)」  


どう反応していいのか分からず、間の抜けた声しか出てこない。
 
けれどローガンは、そんなこちらの戸惑いなんて特に気にする様子もなく、そのまま淡々と言葉を続けた。


「Sho and I were gonna make money, get big, and crush him with everything we had.(翔と俺で稼いで、ビッグになって、金の力で潰してやろうって考えてた)」


静かな声。けれどその奥に、ずっと押し込めてきた怒りのようなものを感じて、私は何も言えなくなる。