「By the way, why are you guys in Brazil?(ところで、二人はなんでブラジルにいるんですか?)」
露骨な話題転換。けれどジャックスは特に気を悪くした様子もなく、ニコニコしながら答える。
「Work. We had a shoot for a streetwear brand.(仕事。ストリートブランドの撮影があったんだ)」
イケてるだろ、とこちらにスマホを差し出し、現場で撮ったのであろうスナップをいくつか見せてくれるジャックス。
服の胸元に入ったブランドロゴは、世界的に展開されている超有名ブランドのもので、私はちょっと目を見開いた。
すごい……この二人って、デビュー前なのに、ほとんどデビュー済みアーティスト級の重要な仕事をもらってるんだな。
さすがはLUCAのトップトレイニーというべきか、何もかもスケールが違いすぎる。
きっと正式にデビューしたら、二人とも世界を牽引するスーパースターになるんだろう。世界中のアリーナを飛び回って、チャートの上位に当たり前のように名前を連ねて、グラミー賞のレッドカーペットを軽々と歩いちゃうような、遠い存在に。
こうやって対等に気軽に話せるのも、きっと今のうちだけなんだろうな……。
と、そんなことをぼんやり考える私の横で、ジャックスがふと思い出したように口を開いた。
「Too bad Ewan isn’t here.(ユアンもいればよかったのにな)」
「Ewan?」
なんでユアン?
反射的に聞き返すと、ジャックスはニッと口角を上げ、揶揄うように続けた。
「Yeah. He still keeps that handkerchief you gave him.(あいつ、お前にもらったハンカチまだ大事に持ってるぜ)」
「……He does?(……まだ?)」
思わず目を見開いてしまった。
LUCA合宿でユアンにあげたハンカチ、借りパクされたままだなぁとは思ってたけど……
まさか、いまだに大事に取っておいてくれてるとは。ユアンって私のこと死ぬほど嫌ってたし、もうとっくにゴミ箱に捨てられていると思ってた。
