さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



そして、そんな私の呟きをかき消すかのように、ずっと呆気に取られたように固まっていた高架下が──


「Aaaaaaaaaaaaaaaaah!!!!!!!!」


爆発した。

さっきまでとは毛色の違う、黄色い悲鳴があちこちで飛び交う。


「Espera, aquele ali não é o Rogan Hughes, da LUCA?!(待って、あそこにいるのってLUCAのローガン・ヒューズじゃない!?)」

「O Jax Carter também tá aí! Eu assistia ao LUCA TRAINEE CAMP toda semana!(ジャックス・カーターもいるわ!私、LUCA TRAINEE CAMP毎週見てたの!)」


……終わった。完全に、LUCA合宿のデジャヴだ。

調子に乗って手を振ってファンサし始めるジャックスとローガンに、げんなりとしてしまう私。


もうほんとにやだ、疲れた……。


色々不可解なことはあるけれど、とりあえずここにいたら面倒ごとに巻き込まれるのは確定。

このカオスに便乗してなんとか逃げ出してしまおう。


と、そう思った私は、一人気配を消し、そろりそろりと立ち去ろうとした──んだけど。


「Peraí…… então aquele garoto japonês é o que venceu o Rogan por UM voto no TRAINEE CAMP?!(待って……じゃあ、あそこにいる日本人の男の子って、TRAINEE CAMPでローガンに一票差で勝った子!?)」


人混みの中で、誰かが大きく声を張り上げた。


ぎくり。

動きを止めてしまう私。

と、その一瞬の硬直が、彼女たちに確信を与えてしまったらしい。


途端、悲鳴の音圧が一気に跳ね上がり、高架下はもはや何かのライブ会場みたいな様相を呈し始めた。

目を完全にハートにしたギャラリーたちが、ドッと一斉にこちらに押しかけてくる。