「っ……」
冷たい水が、火照った身体に染み渡る。
まあ、何はともあれ、これでようやく今日のタスクは完了。
この後はちょっと休んで、一緒に来てくれたカメラマンさんと一緒に映像だけ確認して、その後は帰って寝れる──
「Hey.」
「っ?!」
不意に、耳元に声が落ちてきた。
ビクッと肩を跳ねさせ、反射的にそちらを振り向く。
こ、今度は何……?!
「You got any of those flyers left? We want one.(そのフライヤー、もう残ってないの?俺らも欲しいんだけど)」
流暢な英語。
見上げると、そこに立っていたのは派手な雰囲気の長身サングラス二人組だった。
う……
なんか見るからに面倒そう……
関わらないのが吉だと判断した私は、ふっと視線を逸らしながら素っ気なく答える。
「Sorry. There aren’t any left.(すみません。もう残ってないんです)」
「Oh, seriously?(マジ?)」
「Yeah──」
そう説明している途中で、私はふと、何か違和感に気づいた。
……ん?
改めて、目の前の男を上から下までじっと見てみる。
このスラッとした立ち姿に、色気のある香水の匂い、軽妙で甘い声のトーン。
なんだろう……なんか、どこかで会ったことがあるような。
なんとか記憶の糸を手繰り寄せようとするものの、ダンスバトル直後で疲労困憊の頭はまるで働いてくれない。
私は眉を寄せたまま、軽く首を傾げた。
すると、そんな私の困惑を前に、目の前の彼は、面白そうに口角を上げ──
サングラスをクイッ、と持ち上げる。
