そう。
椎木篤彦の言う私の『必勝法』とはすなわち、『ガールズダンス』を使うことだった。
私は残念ながら、ヒップホップに慣れていない。わざわざ一つ一つの動作を必死に考えないと、最適解を見つけられないほどに。
けれど、こっちなら話は別。
元々私は女、専攻してきたダンスジャンルもずっとガールズ。
男装のために封印していただけで──
技術も魅せ方も、決して失ったわけじゃない。
身体のラインを見せて溜める時は、色っぽく目を細める。
対して強い音の時はしっかりと叩きつけ、不敵に笑う。
この動きの時に自分がどうすれば視線を奪えるのか。それが十数年の経験で蓄積されているから、引き出しの多さは段違いだった。
「CARALHO!Essa criança é sinistra!(あの子エグいって!)」
「Quente demais!(めっちゃホットじゃん!)」
「Bora lá ver!(見に行こうぜ!)」
騒ぎを聞きつけた観客たちが一人、二人と集まってくる。
そして気づけば、高架下には遠目からでも分かるほどの大きな人だかりができていた。
……我ながら、効果てきめんすぎる。
地面に置いたフライヤーが飛ぶように無くなっていくのを視界の端で捉えながら、私は踊りの合間に軽く息を吐いた。
最初からこれやってればよかったのかな。
