ふわ、とこぼれ落ちる髪を、軽くかき上げる。
初めて顔が全て露わになったからか、ギャラリーの間にどよめきが走り、誰かが何かを叫ぶ。まばらに口笛も聞こえた。
空気感が変わったのを肌で感じながら、私はゆっくりと歩き出す。
「Ei, o centro de gravidade dele tá muito alto!(おい、重心が高すぎるぞ!)」
「Tu sabe o que é hip hop de verdade?!(ヒップホップが何か分かってんのか?!)」
周囲のD-PARTYメンバーから容赦無く飛んでくる煽り。
気が散りそうになるけれど、それを受け流して、対戦相手の眼前に進み出る。
そして──
ガンッ。
低く鳴ったキックに合わせて、一気に腰を落とした。
男の目が、僅かに見開かれる。
私は低い姿勢のまま、ふっ、と目を細めて彼を見上げた。
蔑むように、ゆっくりと。
値踏みされているのはそちらも同じだと、きちんと解らせる。
──やっぱり。
こっちの方が、断然やりやすい。
「Don't start acting out of character just 'cause I mistook you for a girl!(っ……女だと間違えられたからってガラじゃないことすんなよ!)」
動揺を含んだ煽りを聞き流し、音を撫でるようにフォーカウントほどじっくり溜めた。
そして、音の隙間を縫うようにくるっとターン──
ぴたっ、と止める。
そのまま、伏せていた視線をふっと流して彼を見据えると。
そして、さっきのお返しに、二本の指を相手の目元に向けて突き出す。
その意味は──
『Look at me』
