ズン、カッカッ、というベースの重低音を、人間には有り得ない動きで残さず拾ってゆく。
関節全部が別々の生き物みたいに、音に引っ張られて動いているとしか思えない。
早送りみたいにシャープな動きをしたかと思ったら、僅かなポーズではふっとスローモーション。
アイソレは筋肉の塊が弾けるみたいに強烈で、アクセントはすべてアスファルトをぶち抜くレベルのエッグい重量感でキメる。
カカカカカカッ、という複雑なスネアの連続をすべて完璧にハメて見せると、割れんばかりの歓声が巻き起こった。
「Esse coroa é foda pra caralho!(このおっさんクッソやべぇ!!)」
「Dá aula pra esse moleque, porra!(ガキに格の違いを教えてやれ!!)」
……独壇場だ。
さっきまでの私のダンスが児戯に思えてくるような圧倒的なスキル──年季の入った『本場のヒップホップ』に酔いしれるギャラリーの輪。
その中心で、男はニヤッと笑って、そのステップの矛先を私へと向けた。
そのまま、わざわざ私の目の前ギリギリまで煽るように踏み込んできた彼は、威圧するように自分の胸板をドンと叩く。
さらには、わざと自分の股間を見せつけるように叩き、ガッ!!と音にハメて腰を突き出してきた。
──自分の方が、圧倒的に男としての魅力がある。
そう全身でマウンティングするような、最大級の性的挑発だ。
「OHHHHHHHH!」
案の定、地面を揺らす勢いで盛り上がるギャラリー。
