「If you’re a boy, take off all those clothes(もしお前が男なら、その分厚い服を脱いでみろよ)」
「……は?」
「It’s too hot just looking at you(見てるだけで暑苦しいぜ)」
そう言って、わざとらしく自分のタンクトップを引っ張ってみせるその酔っ払いダンサー。
背後に控えている彼のクランメンバーらしき集団も、ニヤニヤと面白そうに笑ってこちらを見ていた。
……マジか。
思ってたよりずっと面倒な集団に絡まれてしまったみたいだ。
多分、どこの馬の骨か分からないアジア人への挑発半分、下心半分みたいな感じなんだろう。本当にもう、ろくでもない。
遥風が現地の人に絡まれたって話を聞いた時はあんなに爆笑できたのに、いざ自分がそのポジションに立たされると全然笑えなかった。
「I don’t have time for this!(あなたに構ってる暇ないんです!)」
私は男から距離を取りながら、できるだけ怖い顔を作る。
「I have to hand out these flyers!(フライヤーを配らなきゃいけないんで!)」
それだけ叩きつけるように言い残し、私は踵を返して再度音楽を再生しようとする。
けれど。
「Wait(待て)」
低い声と共に、男が私の前に回り込んだ。
「Dance battle(ダンスバトルだ)」
「…What?(はい?)」
「You and me(お前と俺でな)」
は?
なんでそうなる。
表情を引き攣らせ固まる私に、男はニヤニヤしながら続けた。
