ぐ、と身体を入れた滑らかな重心移動。
ここは力の抜けた余裕なカッコよさを演出するから、顎を上げ、相手を煽るような、ちょっと見下した笑顔で。
そこからまた観客側に向けてアクセントを取るような強い振りが続くから、ここはちゃんと相手を威圧するような、オラついた表情で。
全身を使った大きめの動きでは、ダイナミックさを見て欲しいから顔は伏せて──
続くカッ、というアクセントでは、手首を返して両手で取り、ヤンチャっぽく歯を見せて笑う。
……慣れないから大変だ。レッスン後で疲れ果てている全身の筋肉が悲鳴を上げ、汗が額にじわりと滲んで流れる。
けれど、努力の甲斐あってか、それともただ珍しがられているだけなのかは分からないが、確実に人は集まってきていた。
足を止めた観客が、地面に置いたフライヤーに手を伸ばし、その数は順調に減り始めている。
このままいけば100枚完売も射程圏内なのでは……?!
希望が見えて、安堵しかける私。
けれど、私の不運体質は、このまま無事クリアすることを許してはくれなかった。
