さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



力強く上体を下げてから、反動で引き上げ、素早く引く。

高低差意識。低く沈んだぶん、高く見せてから──


重低音のアクセントを拾って、ロジャーラビット。


軽快なステップで刻んだ直後、グッ、と溜めて、ダウンの動き。

低く、か、かっと段階的に落ちてから、下に手を打ちつけてガッとアクセント。


強弱意識。肩の向きの変化も思ってるより大袈裟に。

激しく動いたことで、ドクドクと高鳴る心臓。揺れる視界の中、私は周囲の反応を探ってみる。

すると、他のダンサーたちのパフォーマンスを見ていたギャラリーのうち数人が、こちらに気づいてチラチラ視線を寄越しているのが見えた。


「Quem é aquele garoto asiático? Dança muito!(あのアジア人の子誰? めっちゃ踊れるじゃん!)」

「Nunca vi por aqui. É menino ou menina?(ここで見かけないよね。男の子? 女の子?)」

「Mãe, posso ir lá ver?(ママ、あっち見に行っていい?)」


ちらほらと、ギャラリーがこちらへ来て足を止め始める。

低い位置でのターン。振り向きざまに手で音を拾ったところで、てとてとと近づいてくる小さい女の子と目が合ったので、ニコッと笑いかける。