「あ」
視線の先。
レジの方から歩いてきた見慣れた人影に、思わず心臓が跳ねた。
そこにいたのは、なんと──
天鷲翔。
シンプルな黒い半袖Tシャツに、ストンと落ちるデニム。
さらりと横顔に落ちる前髪、その隙間から銀色のピアスがちらりと光った。
腰のポケットに片手を突っ込んだまま、スマホに視線を落としているその姿はまるでモデルの撮影で──
……って、立ち姿に見惚れている暇なんかない。
そこまで仲の良くない顔見知りと外でばったり会うことが私は人生で一番嫌いだ。気づかれないうちに身を隠さなければ!
そう思った私は、慌てて踵を返そうとしたけれど。
それよりも一瞬早く、彼がこちらを向いた。
バチッ、と目が合う。
「……」
「……」
お互い、沈黙。
こうなると、もう知らないふりをして逃げることなどできない。
終わった……。
心の中でため息を吐きつつ、私は諦めて小さく会釈した。
「ここ使ってたんですか」
「……最近見つけて」
「そ……っか、翔くんも……」
会話終了。
気まずすぎる。
けれど天鷲翔は、私のそばでスマホをいじったまま立ち止まって、そのまま歩き去る気配はなかった。
えぇ……?早く先に行ってよ。
私は戸惑いながらも、この妙な空気をなんとかするために、適当に話題を振ってみる。
