さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「あと、接触の長さで言うなら責めるべきはこの人じゃない」


言いながら翔くんがクイと顎で指し示したのは、スタジオの壁に背を預けてスマホをいじっていた篤彦くんで。

その言葉に、俺も思わず心の中で大きく頷いてしまった。


それは俺もずっと思っていた。椎木篤彦、最近の千歳への態度が変わりすぎ問題。一体どういう風の吹き回しだ?

思っていたことはみんな同じらしく、スタジオ中の視線が篤彦くんへ集中するけれど、当の本人は、至って白々しく首を傾げるだけ。


「あ、俺?」

「そうですよ。最近明らかに千歳に甘くなりましたよね。なんかあったんですか?」

「部屋で誘惑でもされてんじゃないの」


陽斗が真顔のまま、いらんガソリンを注ぎ込む。ああもう、遥風がさらにピリつくようなこと言うなって……!と焦る俺。

しかし、当の篤彦は集まる視線をさらりとかわし、飄々とした態度で口を開いた。


「や、ちょっと便利そうなんで優しくしてるだけ。なぜかまだ心開いてもらってへんけど」


あれで開くわけがないだろ。


「そりゃそうですよ。だって噂で聞いたけど、部屋に盗聴器仕掛けたんでしょ?」


さすがにスルーできなくなってそう口を挟むと、隣で陽斗が、「あれ?GPSじゃなかったっけ?」と首を傾げる。

そんな俺たちの会話を聞いた篤彦くんは、気怠げに髪をかき上げながらボソッと答えた。


「GPSは峰間」

「盗聴器は?」

「俺」

「酒は?」

「俺」

「うわ」

「訴えて良いでしょこれ」


さすがにちょっと引く俺と陽斗。