さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



……朝。

デートで朝帰り。

ふーん。

いいんだ。

自分はそういうことしていいんだ。


ついイラッとしてしまった私は、ジトッと湿った視線を向けながら、棒読みで返した。


「へー。俺には散々言ってくるくせに、自分は朝までホテルでバチコーンですか。いいですねー楽しんでー」

「おいおい嫉妬すんな可愛いな」

「げぇ……」


本気で嫌そうな声を出してしまうと、椎木篤彦は手を叩いて爆笑し始めた。

私は頭痛がしてきてこめかみを抑えながら、何度目かわからないため息を吐く。


この人に嫌われてる時も大変だったけど、興味持たれてる時の方がかなり面倒くさいかも……。

と、そんなことを考えながらふっと視線を逸らした、その時。


私はスタジオの奥から流れてくるオーラがやけに黒いのに気がついて、思わずビクッと身体をこわばらせてしまった。

その主を辿ると、やはり皆戸遥風。

さらりとした前髪の奥から覗く瞳が、さっきまでよりよほど分かりやすく機嫌が悪そうだ。


……まずい。これ以上椎木に好き勝手絡まれ続けてたら、今度こそ遥風との仲が決裂してしまう。

一旦流れを切るために退散しなくては。