さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



真っ暗な部屋の中、スマホの画面だけが白く浮き上がっている。

画面に表示されているのは、千歳とのメッセージのやり取り。


『最近椎木篤彦と仲いいの?』


既読はついているのに、千歳から返信が送られてくる気配は微塵もなかった。


……なんでここで止めるんだよ。

せっかく、最近ずっと引っかかっていたことを聞けたのに。


何か言えって。

違うなら違うって言えばいいだろ。

なんで黙ってる?寝落ちした?


それとも──何かはぐらかしたいようなことでもあるのか?


「わけわかんねぇ……」


ぽつり、と暗い部屋に低く掠れた声が落ちた。


千歳のことになるといつもこうだ。普段はある程度コントロールできるはずの思考が、勝手に悪い方へ、悪い方へと滑り落ちていく。

それを紛らわすように俺はスマホをベッドに放り出して、代わりに枕元に転がっていた小さなうさぎを引き寄せた。


新しい友達。

千歳の代わり。


手で耳のあたりを掴んで、しばらくぼんやり見下ろす。


柔らかい。

軽い。

何も言わない。

当たり前だけど、千歳じゃない。