さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



──などなど、喉元まで出かかった反論はたくさんあったけれど、ここでムキになって騒げばそれこそ彼の思うツボだ。

そう思った私は、ぎゅっと目を閉じて徹底的にシカトを貫く。

けれど彼の追撃は止まらない。


「なーなー、千歳ちゃーん」


背後から、甘ったるい猫撫で声で名前を呼ばれる。無視。


「遥風にダンス見てもらうのやめたんやろ。しばらく一人で自主練してるよな」

「……」

「俺が見てやろうか?」

「え」


予想だにしない方向からの提案に、思わず声が漏れかけて慌てて口を押さえた。


俺が見てやるって……ダンスリーダー直々に、ダンスを教えてくれると?

まさか、彼の方から言ってくるとは夢にも思っていなかった。驚く私に、篤彦はさらに畳み掛けてくる。


「千歳ちゃん、このままやと猫耳メイドやけど。俺頼れば必勝法授けられるで」

「……いらないです」


断らないと勝手に話を進められそうだったので、流石に布団の中から声を上げた。

あの椎木篤彦に限って、そんな上手い話があるわけない。きっと何か裏があるだろうから、ここは謹んでお断りしておこう──


「喜びすぎやって。明日の練習後居残りな」

「……」


そっか。

椎木篤彦って、断っても勝手に話を進めてくるタイプの暴君だったっけ。