「無視ー?冷たいなぁ。俺のこと嫌いなん?」
「はい」
即答。
数ヶ月越しの、嫌われ作戦再始動だ。必要以上に彼につけ込まれないように、とにかく冷たく接して興味を失わせなければ。
そんな強い気持ちを胸に、布団に潜り込んでダル絡みを遮断しようとする私。
けれど、篤彦のわざとらしい煽りは止まらない。
「そんなん言うても、前俺のこと心配して探しにきてくれとったくせに」
ぎくり、と身体が強張る。
レッスン初日、Mr.Dにめちゃくちゃ言われていた篤彦を心配して、外まで探しに行った時のことだ。
「……偶然見つけただけです」
「嘘つき。俺知ってるしなー?お前があの日、陽斗とか栄輔に俺の居場所聞いて回ってたの」
「……」
表情が固まった。
何も言い返せない。だって、あの日、彼を心配して必死に探し回っていたのは紛れもない事実だったから。
焦りで言葉を失いフリーズしてしまう私。それを察したのか、篤彦は勝ち誇ったようにわざとらしく何度も頷いてみせる。
「ふーん。へぇー。ほーん……」
「……」
「意外と俺のこと好きなんや」
「……」
「ありがと♡」
うっざ、!!!!
別に、あの日探し回ったのは、私のせいで彼の練習が削られていたかもしれないっていう罪悪感にちょっとだけ引っ張られただけだ。
それイコール私が彼に好意を持っているなんておめでたい解釈、絶対にしないでほしい。本当に勘弁して!!
