週刊誌にすっぱ抜かれたら一発アウトの色仕掛けを使ったことや、色々ミスって抱かれかけたことがバレていたら、詰められること確定だ。
どう言い訳をすれば……と、頭の中で慌てて言葉を組み立て始める私。
そんなこちらの動揺を見透かしたのか、しばらく黙ってこちらを見ていた篤彦は、呆れのため息混じりに口を開いた。
「ま、おおかたカンナさんにでも頼まれたんやろ」
「え?」
「あの人今のパトロン嫌いで早く変えたいとかよく愚痴っとったもんな」
「……」
巫静琉、そんな事務所の根幹に関わる大人の事情を所属アーティストにベラベラ喋っちゃってるの流石すぎ。
たまに、いやかなりの頻度で彼のリスク管理能力が心配になってしまうのは私だけだろうか。
そんなことを考える私をよそに、篤彦はぐしゃりと乱雑に前髪をかき上げながら続ける。
「でも、よりによってなんで翠雲会とかいうSSランクに突っ込ませたんやろ」
そこで言葉を切ると、ようやくスマホをベッドに置き、こちらに視線を向ける篤彦。
眼鏡の奥の目を意地悪く細め、ニコッと楽しそうに微笑んでくる。
「で──どんなふうに断られたん?」
その言葉に、私はちょっと目を見開いた。
……あれ。
この人、特に詳細は知らないっぽい。
ってことは、私のしたことを詰めようとしてるというより──
ただ私の無様な玉砕談を期待しているだけなんだ。
人の努力を一体なんだと……?
彼の態度にイラッときてしまった私は、考えるよりも先に、つい口を滑らせてしまった。
「断られてないです」
瞬間。
ぴしり、と凍りついたような沈黙が流れる。
黙ったままの椎木篤彦。いつも飄々とした彼には珍しく、言葉を処理するのに時間がかかっているみたいにフリーズしている。
そんな彼の沈黙の長さが、私の頭を冷やした。
……あれ。
これ、もしかして。
いや、もしかしなくても。
言わないほうがよかったやつでは?
