……
……急すぎない?
話題と話題のトランジションが雑すぎる。コンテクストもクソもない。
でもなんとなく、彼の話したかった本題はこれなんだろう、と分かってしまった。
じわじわおかしくなって、私はちょっと笑ってしまう。
つまり、さっきまでの会話は全部導線だったってことだ。導線の役割は果たしていなかったけど。
……さて、そしたらどう返信すべきか。
篤彦とは同じ部屋になってから、もちろん会話をすることは増えたけれど、あっちの機嫌が良い時以外はほとんど事務的なことしか話してないし、そんなに心配するようなことでもないのにな……。
そんなことを思いながら、『仲悪いよ』と返信を打とうとした、そのときだった。
ガチャッ。
ドアノブが回る音がして、弾かれたように顔を上げる。
すると、視線の先に立っていたのは──
私と仲の悪い、椎木篤彦くん。
いつもは遅くまで部屋に帰ってこない彼が、珍しくこんな早くに姿を現した。
……な、なんで?
完全に一人部屋モードで気を抜き切っていた私は、数秒ほど固まった後、はたと自分の格好を思い出す。
シャワー上がりに無造作に括った髪、適当に被っただけのダボッとしたTシャツ、そんなTシャツに隠れてほぼ見えない丈のショーパン。
……まずい。
もし前みたいにこのタイミングで遥風が部屋を訪ねてきたら、今度こそブチギレられること確定だ。
そう考えた私は、慌てて括っていた髪を解き、いそいそとパーカーを取り出してTシャツの上から羽織ってみた。
これでよし。
そう思ってちら、と篤彦を見ると、当の本人はカバンをベッドの横に雑に放り出し、スマホをいじっているだけ。
こちらを視界の端に入れるようなそぶりなど、一ミリも見せていなかった。
うーん……
やっぱりこの人相手にここまで警戒する必要はないんじゃ。
むしろ自意識過剰に思えてなんだか恥ずかしくなってきた私は、羽織ったパーカーのフードから伸びる紐を無意味に弄った。
