さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



ソワソワとどこか落ち着かない気持ちを抑え込むようにして、私は手の中のスマホをいじり始めた。

インスタを開いて、興味もないリール動画をスクロールし始める。


初っ端セクシーお姉さんのナイトプール……いいねしてんの飛龍か。

次は潰れた猫……これ多分翔がいいねしたんだな。かわいい。


そんなことをぼんやり考えながら、画面上で親指だけを動かしていると──


ヴーッ。


手のひらに振動が伝わり、画面上部に通知バナーが降ってきた。


『俺もそのくらい』


あっ、続いてたんだ。


……そうですか。俺もそのくらいですか。


でも、だからなんだって話だ。もしかして──時間合わせて一緒に行きたいとか、そういう話?

そう都合よく解釈して、ちょっと口元が綻んでしまう。


『日昇りきったあとじゃ暑いもんね』


スマホを素早くタップして、当たり障りないことを送ってみる。さて、なんて返ってくるかな。


ちょっとソワソワしながら待ってみる。数秒、数十秒、一分……

……

…………

き、既読無視かーい。


なんなんだよ、と頭を抱えたくなる。話終わらせたくなったなら、せめてリアクションで終わらせるか何かすれば?じゃないとずっと落ち着けないじゃん、こっち。

そんなふうに内心ぐちぐち言いながら、スマホを裏返す。


また何か来るかな、と思っていたけど、どうやら今回は本当に何も来なさそうだった。

そんな変なこと送ったかな?こっちが追いLINE送るべき?……いや考えててもキリがない。もういっそ寝るか……。


と、そんなふうに無理やり思考をシャットアウトし、うとうとし始める私。


けれど、その五分後。

ヴーッ、と再び通知音が鳴った。


……なに?!


ぱっ、と飛び起きて、通知バナーを確認する。すると、そこに表示されていたメッセージは──



『最近椎木篤彦と仲いいの?』