さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「……ん」


ゆっくりと手を伸ばし、画面をひっくり返す。

すると、そこに表示されていた名前は──遥風で。


『明日自主練来んの』


その一言のLINEに、せっかくぼやけかけていた思考がはっきりと戻ってきてしまった。

ああ……そういえば、明日のレッスンってMr.Dの都合で自主練日だったっけ。

私はベッドの上でごろ、と寝返りを打ちながら、画面を素早くタップして返信を返す。


『行くよー』


送信して一秒も経たないうちに、パッとつく既読表示。

……けれど、そこから一向に、次の言葉が送られてくる気配はなくって。


「……そんだけか」


ぼそ、と呟き、画面を暗転させてシーツの上に放り出す。

そのままうつ伏せに寝っ転がって、顔をぎゅっと枕に埋めた。


あの時、LINEをしようと提案したのは私の方だ。

だけど、実は私も、そこまでこういうメッセージツールが得意なわけじゃない。


だって、文字だけのやり取りだと表情も声音も伝わらないし……相手がどういう気持ちでいるのか、判別がつきにくいから。