「あ。セクシーマシーン」
「うるせぇよ」
バッサリ。秒でぶった斬られ、ちょっと笑ってしまう。
遥風の方も嫌そうな顔はしているけれど、別に本気で怒っているわけではなさそうだった。
むしろちょっとだけ口角を緩ませたまま、ツカツカと私の方に近づいてくる。
「買い出し行ってきたの」
「うん」
「それエナドリ?近くのスーパーにないよな。どこ行ってたの」
「ジャングル」
「千歳」
「はい」
さすがに口をつぐんだ。あんまり調子に乗ってはそろそろ物理的な制裁が降ってきてしまう。ごめんなさいもうやめます。
遥風はそんな私を、しばらくポケットに手を入れたまま見下ろしていたけれど──
やがて、ふっ、と息を漏らして小さく笑った。
「……お前って、意外と性格悪いよな」
呆れたような、それでいてちょっと優しい声音。
その一言に、私は飲み物のパックを手にしたまま、口を開きかけ──
止めた。
──遥風の前だけでしょ、なんて。
そんな言葉が喉元まで出かかったので、慌てて強引に飲み込んだのだ。
……間違ってもそんなことを言ってはいけない。
変にあざとく響いてしまうし、何より、言葉にすることで、私自身も何かを勘違いしてしまう。
そう思った私は、結局わざとらしく肩をすくめて、冗談で誤魔化すことにした。
