『今世でもあなたと野生の愛を育みたい。返事をください、私の神聖な肉食獣』
「ふーーー……」
羞恥心と苛立ちを吐き出すように、細く長い息を吐く遥風。
片手で額を押さえ、静かにスマホを裏返すその姿を見るに、さすがに限界らしい。
ダメージをモロに食らっている遥風がなかなかおかしくて、私は涙を拭いながら、まだヒーヒーと笑い続ける。
「遥風、遥風っ……早くジャガーの鳴き声で返信して」
「おいふざけんな」
食い気味でツッコんでくる遥風。その必死さがさらに面白い。
と、そんな私たちの様子を遠くから見ている人影が二つ──
栄輔と、陽斗だった。
二人とも自主練の合間に水分補給をしているようで、汗を拭きながら何やら盛り上がっているこちらにチラチラ視線を向けてくる。
「いちゃいちゃしてていいなー……俺の前で千歳くんあんな可愛い顔見せたことないのに。いますぐ割り込んで俺の部屋に連れて帰りたい……
とか言わないの栄輔」
「いや言ってませんけど?!?!」
陽斗に勝手に脳内実況をされ、必死で絶叫する栄輔。
直後私と目が合って、「違う!違うよ!!」と真っ赤になって弁解する始末。
そんな彼の隣で、腹を抱えてゲラゲラ笑っている陽斗。いまだにダメージから抜け出せず頭を抱えている遥風。
そうして、完全にカオスと化したスタジオの中──
忙しいレッスンの一日は、無駄に賑やかに過ぎていくのだった。
