さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



『返事をくれないと、私は怒れるチキンになります』


無理だった。


「ふっ、は……!!」


ハンディファンを握ったまま、床に笑い崩れる。

何?何を言いたかったの……?

身体を折り曲げて呼吸困難になる私をよそに、当の本人は死んだ目。


「意味分かんねぇ勝手になってろ」


心底疲れた顔で低く吐き捨て、そのままスマホを伏せかけるものだから、私は慌てて止めた。


「待って、もう一個!もう一個くらい読もう」

「は、なんでだよ!」

「読まないのは失礼だし」

「あのさ、お前が一番失礼だからな?」


遥風は呆れたようにため息を吐きつつも、やはりこちらの頼みは断れないらしく、結局別のメッセージを翻訳にかけ始める。


遥風ごめん、と心の中で謝りながらも、好奇心には勝てず。

私もちょっと身を乗り出して、その画面を覗き込んだ。


『ああ、なんてことだ。あなたのそのミステリアスなオーラは、私の前世の記憶を呼び覚ましました』

「おーすごいじゃん」

「もう嫌なんだけど」

『確信しました。私たちは三千年前のブラジルのジャングルで、お互いを求め合っていたジャガーの夫婦です』

「はっ……!!」


傑作が来た。

自分の膝をバシバシと叩いて悶える。ジトッ、と恨めしげな視線が隣から落ちてくるけど、そんなものを気にしていられる状態ではなかった。