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…………
………………
「はぁ?」
数秒遅れて衝撃。
素っ頓狂な声が漏れた。
『野郎に』。
……って、文字通り受け取っていいの?
いまだに自分の耳を疑い固まる私を前に、遥風は「はぁ……」とため息を吐くと。
そのまま、死ぬほど微妙な表情をして、自分のスマホのロック画面を見せてきた。
すると、そこに表示されていたのは──インスタのDMの通知で。
全然読めないけれど、ポルトガル語で綴られた謎の口説き文句らしきものがずらりと並んでいるらしかった。
そして、そのアカウントの名前は、見事に男らしきものばかりで──
…………
「なぜ…………」
「俺が聞きたい」
思わずなんともいえない声色で返すと、ピシャリと返された。
本人が一番戸惑っているらしい。
確かに、ブラジルはそういうコミュニティの数も多くて、その手の文化にすごく開放的な国だとは聞いていた。
それに加えて、確か海外のゲイコミュニティでは特に、『マスキュリン』、つまり『男らしさ』が重視されることも多いらしい。
つまり、高身長で体格が良く、端正な顔立ちとミステリアスな雰囲気を併せ持つ遥風は、そういう方向を好む人には最高峰のドストライクなのかもしれない、ってこと。
な、なるほどね……?
と、複雑な顔で色々と考えを巡らせる私。
その表情をどう捉えたのか──
遥風はちょっと息を呑むと、慌てたように口を挟んできた。
「あっ、いや違う、インスタくれたらフライヤーまとめて持ってってやるって言われたから」
「え?」
「今から全員切るから」
本気で焦ったような表情で、変な方向に責任を感じ始め弁解する遥風。
最初は私もキョトンとしていたけれど、やがて、彼の必死すぎる姿がじわじわおかしくなってきて──
堪えきれずに、ふはっと吹き出してしまった。
