陽斗って……ダンス上手いよね。
私と同じく華奢めな体型にも関わらず、ダンスを上手く見せる方法をよく知ってる気がする。
意外とありかも、と考えた私は、彼にアプローチしてみることにした。
「陽斗……もし時間あったら、いつかダンス教えてくれない?」
恐る恐る、といった感じで声をかけてみると。
彼は一瞬キョトンと目を丸くした後──
にこっ、と天使のようなアイドルスマイルを向けてきた。
「頭下げろ?」
は?
一瞬口角が引き攣ったけれど、ここまで来て背に腹は代えられない。
お願いします、の意を込めて深々と頭を下げると。
「絶対嫌だねばーーーーか!!誰が教えるかっ!!ギャハハハハ」
「……」
頭を下げた私を指差して、ゲラ笑いし始める陽斗。
こいつ……
「なんでオーディション番組で敵に塩を送るような行為しなきゃいけないわけ?!さっさと炎上しろー!」
「おいやめろお前最悪だぞ!」
「待って待って待って頭下げてる千歳とツーショ撮る」
「バカなこと言ってんじゃねー!!千歳ごめんマジでごめん」
雪斗がすっ飛んできて、思いっきり陽斗を引っぺがす。
大騒ぎしながら兄の代わりに必死で謝ってくる雪斗に、私は顔を上げ、死んだ目と微笑で返した。
この人に頼った私がバカでした。
ギャーギャーと双子が嵐のように去っていき、取り残された私は、思わず重いため息を吐いてしまう。
陽斗の態度は最悪だけど、それでも言っていることはもっともだ。
ここはサバイバルオーディション、みんな自分のことでいっぱいいっぱい。本気でデビューを狙っているわけでもない私が、本気の彼らを邪魔することなんて本来絶対にあってはならないことだ。
……もう潔く諦めて、お給仕の練習でもしとこうか……
と、誰よりも暗いムードに包まれながら荷物をまとめ始める。
