さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



もはやトラウマ同然の画像を見せつけられ、死にそうになる。周りのメンバーたちも騒然。

「やべぇ」「人権侵害だろ」「殺す?」とドン引きで慄いているのは、遥風、栄輔、雪斗の三人だった。この三人って、マジでこういうの苦手そうだもんね……。

分かるよ、と心の中で同情の握手を交わしていたところ。


「千歳のフライヤーこっそり増やしとく?」

「あり」


私の背後から最悪な会話が聞こえてきて、内心舌打ちした。京と篤彦だ。

ゴールは同じだが、一方は私欲、一方は貶めのためである。史上最凶の利害一致。


Mr.Dはその後、なんか詳しい段取りの説明と、せいぜい頑張れよ!みたいな無責任な激励だけを投げかけ、最後まで上機嫌のままスタジオから去っていった。

なぜこんな曖昧な記憶しか残っていないかというと、絶望の淵に溺れて説明を聞く余裕がなかったからだ。


けれどとにかく、これからDaisの練習時間を削ってでも死ぬ気で準備しなくちゃいけない、ということだけは理解できた。

とはいえ、私一人の力だけでやるって言ってもだいぶ限界があるよね。


もしできるなら、誰かの助けを借りたいところだけど……

そんなことを考えて、スタジオに残っている他のメンバーを見渡してみる。


まず、椎木篤彦──

いや却下。人の不幸が主食みたいな彼が手助けしてくれるはずがないし、普通にこっちも嫌。


じゃあ、翔は──

うーん怖いからやめとこう。多分あっちも私なんかに教えたくないだろうし。


そうして消去法で視線を彷徨わせていると、ふと陽斗と目が合った。