けどそれってある種、あなたの選考権限の放棄なのでは。
まさか選ぶのが面倒くさくなっただけではないですよね?
しかも、路上パフォーマンスって、この文脈だとダンス一本勝負だよね。
だとしたら、私にはだいぶ不利だ。
前までより成長したとはいえ、私のスキルはまだまだ未熟。ストリートカルチャーの発達したブラジルで、こんなヒョロもやしが中の上くらいのダンススキルを披露したところで、一体どこの誰が足を止めるというのか。
まあ、ストリートで失態を晒したところで、ダンスブレイクを逃すだけならまだ良かった。というか、最初から狙ってないし。
でも、悲しいかな、この条件下だと──
私は、カンナさん考案『ペナルティ』適用者になる可能性が極めて高い。
「Um... what's the penalty, exactly?(あの……ペナルティ内容ってなんなんですか?)」
Mr.Dの言葉が途切れたタイミングを見計らって聞いてみると。
彼はちょっとキョトンとした顔をしたあと、「Penalty? Oh, right. What was it?(ペナルティ?ああ、そうか。なんだっけな)」とか言いながら、ゴソゴソと自身のスマホを漁り始めた。
どうやらこちらの罰ゲーム内容にはまるっきり興味がないらしい。
そりゃそうだよね、あなたには関係ないもんね……。
内心でそんな恨み言を呟きながら、喉を潤そうとペットボトルに口をつける。するとそのタイミングで、Mr.Dが顔を上げた。
「Found it! Looks like you’re wearing this!(あったぞ! どうやらこれを着るらしい!)」
言いながら、画面をこちらに見せてくる彼。
それを認識した瞬間──
「げほっ……!!」
盛大にむせた。本日二回目である。
咳き込み、涙目になりながら、表示されている画像を睨む。
見覚えがある。ありすぎる。
黒とピンクの、フリルたっぷり猫耳メイド服──!!
