「NAHHH, BRO, THAT MAKES SENSE!! I KNEW IT!! You caught damn near every accent I would’ve caught! That’s WILD!(いやいやいやブロ、道理でだよ!!やっぱりな!!俺が取るアクセントほぼ全部取ってたぞ!!マジでエグい!!!)」
至近距離でぐわーーっと捲し立てられ、それを受けた篤彦は人の良い笑みを浮かべながらも若干視線を斜め上に逸らしている。
その瞳に『うるさ……』と書いてあるのを、私は見逃さなかった。
いや、世界が憧れるレジェンド様にブロ扱いしていただいてるんだからもっと誇らしげにしなよ。
そんなふうに呆れていると、不意に横から、どよーーんと暗いオーラが漂ってきた。
視線を向けると、その発生源は栄輔。
確か次にコレオ発表が割り当てられている彼が、前髪が崩れるのも気にせず思いっきり額を押さえていた。
「……トップバッターでこれじゃこのあとどんなコレオ出してもしらけるじゃないっすか……マジ何やってくれてんすかあのクソバケモンこんな時に限って……」
呪詛のようにぶつぶつと唇から流れ出す切実な呟きに、確かに、と思ってしまう。
私も昨日の夜、三時間睡眠で必死にコレオを作ってはきたけれど──
たった今提示された『最適解』と比べたら、自分の振り付けなんてあまりにも幼稚な、表面の音しか拾えていないお遊戯レベルのものに思えてくる。
第一、昨夜突貫工事で作ったばかりのコレオだから、頭に入ってるかどうかすら怪しいし……
──椎木篤彦、許さない。
どうせ本気を出すなら空気最悪のいつものレッスンの時に小出しにしてくれれば良いものを、よりによって私たちにプレッシャーのかかる今かましてきやがって。
レジェンドの狂喜乱舞と、残されたメンバーたちの衝撃と焦燥。
それらがないまぜになった複雑な空気の中、私はこれからやってくる自分の発表の行方を案じて、栄輔と一緒にため息を吐き出すしかなかった。
