LUCAの時も、ブラジルに来てからも一度だって見たことがない史上最高の上機嫌に、全員ちょっと引き気味。
篤彦でさえ、表情管理が崩れかけて口元が少し引き攣っている。
「That was nasty. That was EXACTLY my type.(今のえぐいな。マジで俺の好みだぜ)」
白い歯を見せて、ニカッと笑うMr.D。
つい数分前まで不機嫌を撒き散らし空気を凍らせていたオジサンと同一人物とは思えない。
「Hold up, did you study my choreo or something? (待てよ、お前、もしかして俺のコレオを研究したのか?)」
上機嫌そうに、そんなことを聞くと。
篤彦は、肩でゆるく息をしながら、ニコッと笑って答えた。
「Yes, sir. I stayed up working on it. I barely slept, so I’m a little tired.(はい、寝ずに準備しました。ほとんど寝ていないので少し眠いですね)」
嘘つけーー!!!!
心の中で思わず大絶叫してしまった。
準備なんか一ミリもしてないくせに、涙の努力家ムーブ……小賢しいにもほどがある。
けれど、大興奮のMr.Dはそれに気づくこともなく──
顔色をぱあああああっと明るくし、そのアルパカのような目にキラッキラのハイライトを輝かせた。
