コレオは続いていく。
肘をぶつけるように重く音を取って、頭をわざと酩酊したみたいに揺らすのも、ラップのしゃがれたニュアンスを拾っていて。
重いステップをかました後に、ヘラヘラしながらこちらを煽るみたいに抜いて、けどアクセントが来たらキザっぽくキャップを押さえてカッ!!と取り、また首を傾げてゆるっと抜く。
全然お利口じゃない、荒々しい『ヒップホップ』。
彼がダンスバトルの相手だったら、相当腹が立っただろう。
緩急の付け方が完全にこちらをおちょくっていたから。
しかし今は、私たちは一観客。
ただ目を見開いて、彼の与える快感をモロに食らうしかできない。
さっきまで凄まじい威圧感を放っていたMr.Dでさえ、目の前のものが信じられないように、その瞳孔をかっ開いて硬直していた。
それを見てか、篤彦の片頬が、ゆるく歪む。
まるで勝ち誇るみたいに。
彼はそのまま、乱れた前髪の下で目を細めると──
真っ向から挑発するように指し、軽く舌を出した。
『Like that?』
好きだろ、こういうの。
レジェンドすら見下す不遜。
そしてそれに見合う圧倒的な実力。
あまりに椎木篤彦らしい、マッチポンプのエンディング。
ヒュー♪と隣で京が、楽しそうに口笛を鳴らした。
翔は困った奴、とばかりにちょっと笑う。
その横で私は、呆れ半分、尊敬半分で眉根を寄せていた。
