その後、外に出ていたメンバーたちも戻ってきて、正式に収録が始まった。
いや、収録というより──
公開処刑タイム、と言った方が正しいか。
収録が始まるなり、Mr.Dは早速私たち全員をスタジオの端へと追いやり、篤彦だけを鏡の前に残した。
ナメ腐った椎木篤彦に制裁を加える準備は万端らしい。
そして残された当の本人は、一人俯いて肩を震わせている。
視聴者には、緊張しているのかな、と思われるかもしれない。
けれど、私には分かる。この震えは緊張のせいではなく──
たださっきのうさぎネタから抜け出せず、ツボっているだけなのだ。
その証拠に、彼はさっきからカメラに映らない程度にちらちらとうさぎを盗み見ては、耐えきれなくなったように俯く、を繰り返していた。
信じられない、こんな状況で……。
口元を引き攣らせつつ、Mr.Dにも視線を向けてみると、彼も相当不機嫌になっているみたいで。
「Start the track. Don’t waste my time!(早く音を流せ。時間を無駄にするな!)」
番組スタッフ陣に容赦ない怒号を浴びせながら、鏡の前のパイプ椅子にどっかと腰を下ろした。
とばっちりを食って可哀想なスタッフさんたちは、バタバタと慌てて音響機材に向かい、トラックをスタートさせる。
ダンスブレイクへ突入する前の、激しいメロディがスタジオに鳴り始めた。
ここは練習で嫌というほどヘビロテしてきた、スウィング調のサビ。音が流れれば勝手に踊ってしまうくらいには、身体の奥底まで染み付いたパート。
