さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



篤彦の言葉に、一瞬空気が止まった。

翔が、遥風の鞄に視線を向ける。

そして、私を見る。

最後にもう一度うさぎを見て──

反応に困ったように、目を泳がせた。


「うん……」


いやキツい。

その反応が一番キツい。

常識人を困惑させてしまうのが一番堪えるんだって……!!


呆れ気味の翔を前に、完全に居場所を無くして縮こまる私。

篤彦はというと、何がそんなに面白いのか、ずっとツボから抜け出せていない様子。


……もういい。何も言わないにしよう、今この状況で何を言ってもイジリの燃料にされるだけだ。

いつもいつも人の全力をバカにしやがって、この悪魔……天誅を食らってしまえばいいのに。


と、内心で椎木篤彦を呪っていた──

そのときだった。


──バンッ!!


突如、開かれたスタジオのドア。

その音に、その場にいた全員の背筋が伸びた。


……来た。


この馬鹿力でドアを開ける男なんて、一人しかいない──