……にしても、まさかレッスンにまで連れてきているとは思わなかった。
もしかして四六時中、肌身離さず持ち歩いてるわけじゃないよね……?
内心めちゃくちゃ焦りながら、私はなんとか彼の名誉を挽回しようと説明を試みる。
「あれは違くて……俺があげたんです」
「は?」
怪訝そうに見下ろしてくる篤彦。
正直に言うのもなかなか恥ずかしいけれど、かといって遥風のヤバい奴認定を放置するわけにもいかない。
私は羞恥心を押し殺すように、少しだけ声を落とした。
「その……俺の代わりに抱きしめられるものがあった方がいいかなって思って」
「…………」
「…………」
「…………」
沈黙。
お互い何も言わず、時間が止まったような空気。
それが、数秒間続いたあと──
「…………ぶはっ」
篤彦は堪えきれなかったように、思いっきり吹き出した。
は……?
「ちょ、待っ……あかん、無理や」
向こうを向いて必死に表情を隠そうとしているけれど、肩が震えている。
ツボに入っているのが丸わかりだった。
し、失礼な……
恥ずかしくなって、思わず頬に熱が集まる。
