さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「あ、なあ。一個聞いてええ?」


……これから公開処刑だって言うのに、他のことを気にする余裕があるなんて。

私は呆れ果てつつ、じとっとした視線を彼に向けた。


「なんですか」

「アイツはなんで最近あれ持ち歩いてんの」


若干こちらに身体を寄せ、コソッと耳打ちしてくる彼。


……『アイツ』?『あれ』?


戸惑う私に、篤彦が顎で軽く示す。


方向を辿ってみると、その先にあったのは──

ぽつんと残された、遥風のバッグ。


そして、そのバッグの隙間から──

小さなうさぎの頭が、ひょっこり覗いていた。


「ゲホッ!!」


ちょうど水を飲んでいたせいで、思いっきりむせかける。


ま、待って……


身体を折り曲げ、涙目になって咳き込む私。

篤彦はそれを特に心配することもなく、ただただ引き気味の顔でうさぎを見つめる。


「怖いねんけど。サイコパス?」


低い声でそうこぼす篤彦。

いや、ごもっともだ。何も知らずに絵面だけ見たら普通にホラーだと思う。意味わかんなすぎるもん。