「あの」
「ん?」
「……いつまで『それ』、続けるつもりなんですか」
『それ』──つまり下手くそなフリ。
初日からずっと続けているみたいだけど、そろそろいい加減しんどくないんだろうか。
……いや、しんどくないから続けてるんだろうけど。
本人は大丈夫だとしても、近くで見てる私のメンタルがそろそろ限界なのだ。
毎度毎度Mr.Dの最大火力ブチギレをBGMに練習する羽目になり、もうそろ本当に鬱になってもおかしくないレベル。
「流石にヤバいんじゃないですか、頑張らないと」
「……せやなー」
私が必死で訴えるも、篤彦はあまり興味がなさそう。
目すら合わせず、壁にもたれかかってスマホをいじっているままだ。
……聞いてる?
その舐めた態度に流石に腹が立ってしまって、私は声に苛立ちを滲ませた。
「ちゃんと今日のコレオ作ったんですよね」
「作ってへん」
「はあ?」
悪びれもしない即答に、思わず素っ頓狂な声が出た。
ここまで来ると、もう呆れとか通り越して尊敬してしまう。
その強メンタルの1%でも私にあれば、この人生どんなに楽だっただろう。
何も言えず、ただただ固まる私。
その隣で、篤彦は無言でスマホをいじり続けていたけれど──
ふと、何かを思い出したように顔を上げた。
