さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「京……?」


怪訝に思って見上げた、その瞬間。


ひやり、と。

布のざらついた感触が、首筋に押し当てられた。


「っ……?!」


びく、と僅かに跳ねる肩。

な、何を、急に……?!


「ちょ、ダメだよ、触るのっ……」


身体を強張らせたまま必死に睨みつけるけど、彼はどこ吹く風といった様子で首を傾げるだけだ。


「触ってないよ。タオル越しだし」


そういう問題じゃない……!!


「や、……くすぐったいっ、」


抗議の声は届かない。

京の手つきは、意地悪だった。

汗を拭くというより、わざとこしょこしょと焦らすみたいに、反応を探っているような動き。

身を捩って逃げようとしても、しつこく追いかけてきて、私の薄い首の皮膚をなぞり続ける。


ああもう、ほんっと何考えて……!!


「いい加減にっ……!!」


限界を迎えて強引に身を引こうとした、けれど。


その背中が壁に近づいたところで──


とん、と。

京が、私の背後の壁に肘をついた。