さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「暑いから……あんま見ないで」

「え。可愛いのに」


さらり、と。

呼吸をするような口説き文句に、ちょっと息を止めた。


ま、周りに人もいるのに何を……。

と、そんな私の反応を楽しむように、彼はくすくす笑って、じーっとこちらを見続ける。


「可愛いよ、ホントに」

「……茹でダコみたいで?」

「ううん?色っぽいねって」


なんとか冗談にしようと試みるも、秒で台無しにされた。

さっきから何を言ってるんだこの人は……深夜テンション?


焦りと戸惑いで、どう処理すればいいのか分からなくなっていたけれど──

そんな私の代わりに、二つの人影がタックルの要領で割り込んできた。


「はいストーップ」

「セクハラ警察です罰金500円頂戴しまーす!!」


雪斗と陽斗の双子である。


出た……。


最近、彼らは私たちが危ない雰囲気になると、いつもこうして止めに来てくれるようになった。

雪斗は純粋な親切心だろうが、陽斗の方はどうも、私のスキンシップ禁止令に新たな商売需要を嗅ぎつけたらしく。

ここ最近、自主的に『セクハラ警察』とやらを名乗り、治安維持(という名の小遣い稼ぎ)に奔走しているのだ。銭ゲバにも程がある。

まあ、結果的には助かるからありがたいんだけどね……。