さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



って、いやいやいや、ちょっと待て!


「一体どこに何しに行く気ですか?!」


思わずその背中に向けて声を荒げるけど、篤彦は足を止めずに。

ふっとわずかに振り返って、フードを被った横顔、その唇に指を当てた。


『内緒』──とでもいうように。


…………

わけが、分からない。


こんな異国の地で夜に外ほっつき歩いて何をするんだよ。

っていうかそもそもどこに泊まるつもり?野宿?ブラジルの治安そこまでよくないんだからやめた方がいいって。


などなど、色々言いたいことはあったけれど。

きっと私が心配するようなことは、彼には朝飯前で対処可能なのだろう、と思ってしまう自分もいて、結局何も言えずじまいだった。


……ああ、なんか。

本当に、つくづく──


「分かんないなぁ……」


街灯の下、ぽつりとため息混じりの独り言をこぼした私は。


そのまま、彼とは反対方向──

寮の建物へと、とぼとぼ戻っていった。