さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



「……何?ビビらさんといて」


イヤホンを外しながら、ちょっと笑う篤彦。

呆気に取られ、立ち尽くす私。


何が何だか分からない……。


「……何がそんなに面白いんですか?」


かろうじて疑問を絞り出すと、篤彦はイヤホンを巻き取りながら、軽く肩をすくめた。


「……いや?我ながら、怖いくらい思い通りに進んでんなぁって」


篤彦がくいくいと私を手招いた。

私は恐る恐る彼の横に腰掛けて、彼のスマホを覗き込む。


すると、彼のスマホに映っていたのは、今日の練習動画だった。

そういえば、グループLINEに送られてきてたっけ。


でも、これが何……?


怪訝に首を傾げる私に、篤彦は一瞥もくれず、くすくすと笑いながら満足そうに動画を見ている。


「……我ながら腹立つなぁ、この手抜き感。計画通り、Mr.D激おこモードも引き出せたし……ったく優秀すぎて怖いわ自分が」


眉間に指を当てながら、自分に酔ったようにそんなことをこぼす篤彦。

その横顔を前に、私は唖然として固まっていた。


……計画通り?


今、計画通りって言った?


つまり──

今日の彼は、全部演技だったってこと?