さっさと嫌いになってくれ〜アイドルオーディションで嫌われたい男装美少女、なぜか姫ポジ獲得?!〜



これまで、篤彦が何をしていたか。

その問いの答えを、私は痛いほどに知っている。


後半のほとんどの時間を使って、篤彦は──

私の振り入れに付き合ってくれていた。


その事実が鮮明に浮かび上がった瞬間、頭のてっぺんから、さあっと血が引いていく。


まさ、か。


私の面倒を見たことで、練習時間が削られて──

本領を発揮できなかった?


途端、処理できないほどの罪悪感がぐわっと襲ってきて、私は思わず自分の口元を押さえた。


……言って。

……言ってよ。

私にダンスを教えてたって。

私の踊りの面倒を見ることで、自分の練習時間が削られてたって。


けれど、篤彦は何も言わない。

それに苛立ったのか、Mr.Dの語調がさらに荒くなる。


「I can forgive bad technique. I can’t forgive laziness.(技術不足は許せる。だが怠けることは許さない)」


篤彦は依然として、何も言わない。


「You’re not bad. That’s the problem.(お前はけっして下手じゃない。それが問題なんだ)」


Mr.Dはそこで言葉を切ると──

グイッ!!と篤彦の胸ぐらを掴んで、叫んだ。


「Don’t insult me, Atsuhiko. Preguiça!(俺を舐めるな、篤彦。怠慢だ!)」